タントラヨーガの教えに、以下のような道徳的な内容があったのでご紹介します。
「人間の心は、脳の領域と無意織の領域があり、それぞれ拮抗して働いていますが、その両方に力のバランスがとれていて、意識が、無意識からくる様々な働きかけをコントロールできるときだけ、人間の心は一つの人格として正常に働くことができます。 ところが、無意識の中には、食欲、性欲、好き嫌いの感情などの、本能的・衝動的欲望が潜んでいて、意識に働きかけ、大きな影響を与えます。 これらの、本来自己中心的な、利己的な欲望や感情が、意識の規制を破って我がもの顔に振る舞うとき、その人はまったく利己的、反社会的になり、周囲の人々や社会に、大きな迷惑と混乱をひき起こしてしまうのです。
けれども、この諸悪の根源のように思われる自己中心的な欲望や感情も、コントロール一つで、周囲との調和の中に、より高い次元で発現することができます。 小さい時に、家庭や学校で、何が善で何が悪であるかを教えられ、悪いことをした時は、二度と繰り返さないように十分に懲らしめられ、善いことをした時は褒められることを体得した子供が成長すると、そういった体験が少ない子供よりも、コントロールの能力が強いことが明らかです。 宇宙を創造し、人間や自然を生かして下さっている神さまは、善を助け、悪を懲らしめて下さるという教訓を、子供のころ教えられた人は、成長しても、心が悪に走ることへのブレーキを無意識のうちに持っています。 私たちの心をコントロールのできる人だけが、心に安らぎと安定を得ることができ、意識と無意識の間にバランスを保つことができるのです。 このような心の安定とバランスなしには、精神集中、瞑想、三昧に成功して、悟りの境地に達することはできません。
したがって、悪いことをしない(ヤーマ)、善いことをする(ニヤーマ)といった道徳的訓練は、悟りの境地に達する、たいへん重要な準備段階なのです。」
悪いことをしない(ヤーマ): | 非暴力 | 正直 | 不盗 | 禁欲 | 不貪 |
善いことをする(ニヤーマ): | 清浄 | 知足 | 苦行 | 読誦 | 自在神への祈念 |
こういった内容は、「ヒマラヤ聖者が説く10の教え」の中にもありましたので、併せてご紹介します。 この世界には様々な宗教や教えがあるけれど、やっぱり真理に到達する道に共通点は多いのですね。
今日も見ていただいて、ありがとうございました。たくさんの人々が真理に目覚められますように。